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  1. 人材育成

部下の可能性を信じて引き出す人材育成のポイント

部下の可能性を信じ、引き出す人づくりのポイントのイメージ写真です。

部下を価値創造の主体と捉えた育成が新たな価値を生み出す

組織を動かし、その組織の力を最大にするには、「人づくり」が重要となります。
なぜなら、人は無限の可能性を秘めているものであり、
企業や組織の成長や発展は、人の力なしでは成しえないからです。
リーダーは、一人一人が持つ可能性を信じ、引き出していく必要があります。

部下をコストと見ず、新たな価値を生み出す主体=可能性と捉え育成することが大切です。
その上で進める業務の見える化によって、
集合知は深く大きなものとなり、人と組織の力を向上させるのです。

改善を楽しむという視点、部下の可能性に着目した評価、守破離のステップなど、
リーダー自身が実践し、人づくり(人材育成)の上でもポイントとなる要素をお伝えします。

<目次>
■部下をコストと見ず、価値創造の主体と捉え育成する
■部下の可能性を信じ、本当の「見える化」で進める育成
・性善説に基づく「見える化」
・見える化の型
■部下に伝える「改善」の価値!仕事を楽しみ成長する
・人間にしかできない「改善」
・「改善」は自主的に楽しむ
■評価をするときは、部下の「可能性」にこそ着目する
・人事考課で恩返し
・可能性を加味する評価
■「守破離」で成長を促す人材育成
・仕事の「守破離」
・人材育成の「守破離」

■部下をコストと見ず、価値創造の主体と捉え育成する

トヨタには、「モノづくりは人づくり」という考え方があります。

「モノづくり」が漢字の「物」ではなく、カタカナの「モノ」で表記されている理由は、
単なる「マニュファクチャリング」ではなく、良いものをつくろうという想いが込められているからです。
つまり、トヨタのモノづくりには、誇りや情熱、仲間との支え合いを可能にする「人づくり」も不可欠だという考えも含まれているのです。

なぜなら、人は可能性に満ちた価値創造の主体であり、企業の力を高めるためには人の力が欠かせないからです。

もう一つ、大切なポイントがあります。

「人」を価値創造の主体として捉え、
大切に育てる過程で社風(会社の風土)を醸成する
ことです。
これは一朝一夕にできるものではありません。
だからこそ、企業にとっての宝ともなり得るものなのです。

大切に育てる風土が、一人ひとりの従業員の心に染み渡れば、
会社への強いロイヤリティを生み、精一杯働く原動力になっていくでしょう。
これは会社のためだけでなく、一人ひとりの従業員のやりがいや生きがいの源泉にもなるのです。

「人を育てることで企業の力を高める」という概念を持つことは、日本企業の特徴のひとつです。
日本企業の強みとして、または、可能性の拡大につなげていきましょう。

グローバル化の波に乗り、欧米風の経営手法を取り入れる日本企業も増えています。
移り行く時代に合わせることを考えると、外にある経営手法が有効となることもあるでしょう。
しかし、日本企業の人の和を尊び、人材育成を重視する視点は、残していきたいものです。

部下の可能性を信じ、本当の「見える化」で進める育成

トヨタ生産方式の「見える化」は、もともとは、生産現場をきちんと整えて、
何か異常が起こった時に誰にでも分かるようにしてすぐに手を打てるようにするためのものです。
それが転じて、企業運営のさまざまな場面で用いられるようになりました。

何でも隠さず見せて、ミスをなくし、効率化など、さまざまなメリットにつなげていこうというものです。

たとえば、事務・技術職場(生産現場のスタッフ的業務を含む)で、すべてのプロセスを個人の裁量に任せてしまうと、正確な現状把握ができない可能性があります。

仕事内容の整理からあるべき姿の明確化
現状とあるべき姿のギャップの洗い出し
課題解決に向けた取り組み…など。

すべてを「見える化」して、一連の活動を誰もが、いつでも分かるようにすることが大切です。
進捗が遅れた場合でも、その遅れがすぐに分かり、対策を打てるようになるからです。

性善説に基づく「見える化」

「見える化」で大切なのことは、「性善説」とセットにすることです。
仕事のプロセスのすべてを「見える化」すれば、人は良い方向へ向かって行動を起こすに違いないと、人の可能性を信じることを大切にしなければ機能しないからです。

「人の知恵、人の可能性を信じ、人の知恵を生かすことで人を育てる」という考え方でないと、本当の意味での「見える化」は不可能なのです。

性善説に基づく「見える化」を、経営から現場、企業全体で実践することは、日本企業のグローバル競争力や経営力を強化することにつながるでしょう。
理念やビジョンはもちろん、戦略、プロジェクトの進捗状況、キャリアプラン、人事考課の内容など、可能な限り「見える化」することで、集合知は深く、大きくなっていくのです。

見える化の型

「見える化」には型があります。
現場の作業を「見える化」するなら「QC7つ道具」を使うとより効率的で効果的です。
何を「見える化」するかということに合わせて型を活用するように心がけましょう。

社内の状況や情報はもちろん、経営者自身の頭の中にあることもできるだけ「見える化」することで、従業員一人ひとりの意識が変わり、行動が変わり、業績の変化につながるはずです。

部下に伝える「改善」の価値!仕事を楽しみ成長する

トヨタやデンソーでは、仕事には2種類あると考えます。
ひとつが日常業務を滞りなく行うためのオペレーションで、もうひとつが「改善」です。

人工知能などの発展が著しい昨今、
将来的にはこれまで人が行ってきたことの多くが、
コンピュータや機械によって行われるようになると言われています。

確かに、決まったことを決まった通りに行うオペレーションは、
プログラミングを行えばコンピュータにも可能かもしれません。
しかし、コンピュータに「改善」ができるでしょうか?

人間にしかできない「改善」

どれだけ技術が発展したとしても、仕事を「改善」することは人間の専売特許でしょう。
仕事を「改善」するためには、現状を正しく把握しなければなりません。

改善のためのさまざまな手法(QCなど)を身に付けることや、
改善後をイメージしやすくするなどの創意工夫も必要
となります。

それらは、もしかすると将来的にはコンピュータにもできるようになるかもしれませんが、
現状、人間にしかできない仕事なのです。
 
ですから、仕事では常に「改善」を意識しながら、仕事を楽しんでください。

「改善」を通して生産性が高まれば、目標の達成により近づくことができます。
「ムラ・ムリ・ムダ」をなくすことができれば、仕事はグッとラクになるのです。

そして、人は「改善」を通して成長し、より大きな結果を残せるようになるでしょう。
これが楽しくなければ、仕事はつまらないものになってしまうのではないでしょうか。

「改善」は自主的に楽しむ

仕事で成果を上げる・高めるためには、「改善」は欠かせないものです。
しかし、部下に「改善」を押し付けてはいけません。
ある程度、自主的に行ってこそ「改善」であり、そこに楽しさが生まれるものだからです。

ひとりで行う改善は難しいこともあります。
「自主勉強会」など、グループで改善を考える「場」を提供することも効果的です。
仲間たちと、顔を突き合わせて意見を出し合ったり、人の考え方や感じ方を理解し合ったりすれば、より楽しく進めていくことができるでしょう。
グループ同士の改善活動を競わせて表彰したり、発表会を行ったりするのも楽しさをもたらします。

自主的に「改善」のアイデアを出し合い、取り組んでいければ仕事に対する愛着も生まれます。
楽しさも発見できるようになるでしょう。何より、一人ひとりの成長につながっていくものなのです。

「改善」は、仕事に楽しみをもたらすものです。
楽しみとなる「改善」に終わりはありません。
日々の仕事の中に、自らが考える自主的な「改善」を取り入れることで、
仕事が楽しくなっていくということを実感させることも、リーダーの務めなのかもしれません。

評価をするときは、部下の「可能性」にこそ着目する

人事考課は、本来、客観的なものでなければなりません。
売上や利益などの数字や納期など定量的に目標を定めておけば、それがどこまで達成できたのかは誰の目にも明らかです。
そこに人為的な何かが入り込む余地はありません。

しかし、必ずしも一筋縄ではいかない部分もあります。

目標は定量的であるべきですが、人事考課で考慮されるのはそれだけではありません。
とくに、日本では人の可能性を信じて人を育てることを重視しています。
たとえば「人望」「将来性」「コミュニケーション能力」といった定性目標も人事考課の対象です。
そうなると、部下たちの能力に関して全てを定量的に、客観的に測れないものがでてきます。

上司としての仕事は、部下の努力があって成立するものです。
人材育成のための上司の努力は、彼らの努力に対する恩返しなのかもしれません。

人事考課で恩返し

部下が育ったかどうかは、時間をかけ、時を経ないとわからない部分も多いです。
自分の部下でなくなったあとに、その部下の良い評判を聞き「育ったんだな」と感じることも少なくないでしょう。また、仮に育ったとして、自分が育てたのか、それとも部下が自ら育ったのかは分からない部分もあります。

そう考えると、上司が部下に対してできる恩返しとは「人事考課」なのかもしれません。
もちろん、評価は定量目標を設定し、それを達成したかどうかを厳しい目で評価しなければなりません。しかし、そこに定性目標を加えると、たとえば「良」なのか「優」なのかは、上司のさじ加減ということになるのです。

可能性を加味する評価

客観的な数字の結果は「良」でも、客観的には測定できない将来性を見込んで「優」にしようと考えることもあるでしょう。

「良」で終わってしまったのは、自分が「良」の結果になることしか教えられなかったからではないかと感じることもあると思います。

目標設定においても、人材育成につながる心の通った目標設定もあれば、部門の目標を達成するためだけの数字設定もあります。

単に数字だけの判断なら、コンピュータでもできてしまいます。
せっかくあなたという人間が評価を下すのですから、部下のモチベーションを高めることにつながるような「心を添えた人事考課」を心がけていきましょう。

部下の可能性を信じ、人事考課で未来を先取りして評価することで、部下たちはそれを上回る結果を出してくれるかもしれません。
未来は変えられるのだと信じて、部下が育つ評価をしていきましょう。

「守破離」で成長を促す人材育成

少林寺拳法には「守破離(しゅはり)」というステップがあります。
師匠に教えられる型を「守」るステップから始まり
師匠から教わった基本の型を自分なりの型へと「破」るステップへと進み
最終的には師匠の型と自分自身が造り出した型から自由になり、型から「離」れる

この思想は、少林寺拳法だけではなく、武道や茶道、華道など、
あらゆる道の修行における順序・段階を教えるもので、仏教では「習絶真」とも言います。

学ぶとは「真似る」ことであり、
安易に現状のやり方を批判せず、まずそのままやってみることが大切です。

仕事の「守破離」

どんな仕事でもセオリーや発想の手順など、やはり学ぶべき最初の「型」があるはずです。
ですから、まずは教えられた通り、そのままやってみることが大切です。

人の真似をすることで達成される「守」を実現していくには、
まず、こだわりや偏見のない「素直な心」がなくてはなりません。

基本の「型」をきちんと身に付けた上で、自分に合うようにアレンジしていけば良いのです。
真似をしながら仕事に取り組んでいるうちに、疑問を感じることもあるはずです。

「もっとこうしたほうが間違えにくい」「こうしたほうが効率的だ」という自分なりの創意工夫です。
それが改善であり、「破」なのです。

アイデアを実行に移すかどうかは、先輩や上司と相談し、周りとの協調が大切です。
やがて役職を与えられて人を育てる立場になった時、既存の価値観にとらわれず事業そのもののあり方を見直したり、廃止したり、といった改革を繰り返すことで経験値を蓄積していけるのです。

そして、今までの「型」を捨てて、自分らしい仕事のやり方で取り組むべき時がきます。
その時が「離」の段階なのです。

人材育成の「守破離」

「守破離」はそのまま、人材育成にも当てはまります。

部下に仕事を教える時は、
まずは、基本の「型」から教え、少しずつ自主性を育てるようにしましょう。

上司も部下たちも、年齢、育った環境、経験のまったく異なる者同士。
多少機転の利く部下からの「こんなやり方は古い」と反論や反感もあるかもしれません。
そのようなときは、「まず基本をやってみよう」と型を指導しましょう。

仕事というのはフローではなくてストックということを伝えてみてください。
先人たちが積み上げてきたセオリーにはそれなりの意味があります。
石の上にも3年ではありませんが、数年基礎を積み上げることに損はありません。

ひと通り「型」を身に付けたら、自分で「考える」ステップへと移る。
そのためには、真剣に、一つひとつ「型」を積み上げた礎が必要。
そして、いつか自分の世界の構築が可能になることを伝えていきましょう。

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