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  1. 人材育成

人材育成に役立つ仕事をやり切る姿勢づくりのポイント

人材育成で伝えていきたい仕事との向き合い方のイメージ写真です。

仕事をやり切る部下を育成・やり切った!はどう判断させるか

企画書や報告書などの書類を作成すること。
プレゼンテーションをしたり、会議を開催したり。
日々発生するすべての人とのやり取りの記録。

目的や目標に向かって小さく分割されたそれぞれの仕事への向き合い方を確認します。

これらの、ひとつひとつをやり切るために、どのような意識が必要でしょうか。
この意識レベルが、リーダーとしての自分や組織の成長度を左右するものとなります。
適切にやり切ることの積み重ねが、組織の人づくり、人材育成にもつながっていくはずです。

書類作成、プレゼンテーション、会議などの仕事は、どんな意識を持ってやり切るべきか、
また、現状を文書化することの重要性について確認していきましょう。

<目次>
■ 書類作成をやり切る:生産性の高い人づくり(人材育成)
・社内文書も「商品」100%良品を目指す
・書類の質の高め方
■ プレゼンをやり切る:部下の成長を促す機会となる
・本番5分前までこだわる
・プレゼン後までを考えて臨む
■ 会議をやり切る:即行動できる組織づくり
・充実した会議のための3ステップ
・会議をやり切る=議事録を残す
■ 意思疎通をやり切る:効率性の高い人づくり(人材育成)・組織づくり
・仕事は書面に残す
・書面に残して効率を高める

書類作成をやり切る:生産性の高い人づくり(人材育成)

労働とは、人間が自身の行為によって価値ある対象を形成することを指します。
価値ある対象とは、たとえば製造業なら「もの」であり、サービス業なら「サービス」
です。

製造業において、「もの」を製造するためには、
「設計」「製造」「検査」のフェーズをそれぞれ別の人たちがしっかりと行います。

それが大量生産されるものであっても、一人ひとりのお客様が手にする「もの」はひとつ。
手にするひとつの「もの」が不良品であれば、その会社の「もの」は100%不良品ということになります。

ですから、「ひとつくらい良いだろう」というのは許されず、100%良品でなければなりません。

サービス業における「サービス」は画一的ではありません。
お客様が満足すれば良品ですが、不満を感じれば不良品。

お客様によって求められるサービスは異なるため、目指すのはお客様の満足です。
そのため、教育や訓練でサービスの質の維持、向上に努めなければなりません。

社内文書も「商品」100%良品を目指す

では、管理・間接部門で現場を支えるホワイトカラーが提供する価値とは何でしょうか? 

日本は先進諸国の中でも特に、ホワイトカラーの生産性が低いと言われます。
ホワイトカラーの生産性を高めるためには、
意思決定を早くして効率を高め、なるべく早くやるべきことを実施し目標を達成する必要があります。

カギとなるのは「企画書」「案内書」「報告書」などの「書類」の質です。

相手が求めていることを正しく理解し、やるべきことを明確にし、
それがきちんと伝わるようにまとめることが、ホワイトカラーの生産性向上につながるのです。

なぜなら、それらの作成する書類は、必ず誰かに読まれるものだからです。
作成された書類は、通常多くの人に配布されたりメールで送付されたりして、人々に読まれます。

誤字や脱字がある、意味不明な文章、タイトルや差出人や日付が抜けている。
このような社内文書は100%の良品づくりを目指した書類とは言えません。
それを読んだ人に意味が伝わらなければ意味がないのです。

書類をただの「伝達ツール」と考えずに、「商品」だと認識することが大切です。
書類の質が高ければ、スムーズに人を動かし、組織を動かすことができるのです。

ですから、書類を作成する人たちは、
「製造業におけるものづくり」や、「サービス業が提供するサービス」のように、
自らが提供する商品である「書類」を客観的にチェックし、
その質を向上させて100%良品の「書類づくり」をやり切っていく必要があるのです。

書類の質の高め方

書類の質を高めるためには、正しい書類の「型」を活用します。
書類の目的・種類ごとに「型」を定めることが第一歩となります。

伝えたいことを正確に伝えるためにどうすれば良いのか?
伝えるべきことを効率的に伝えるためにはどうすれば良いのか?
このような伝え方の基本を身に付けることが大切です。

たとえばトヨタでは、

「企画書はA3用紙1枚にまとめろ」

と言われます。
そんな書類づくりの「基本」を知り意識することで、「書類の正しい型」が身に付いていくのです。

「書類」も「もの」と同じように、
設計(構想)・製造(作成)・検査をしっかり行う
ようにすることが大切です。

プロ意識を持ち、書類の目的や種類をよく考えて、書類作成をやり切りましょう。
この3つのプロセスを、同僚や上司と分担したり、思い込み防止の工夫をしたりしながら、
良いものに仕上げていきましょう。

プレゼンをやり切る:部下の成長を促す機会となる

デンソーでは、新入社員の時から入社数年、係長や課長、次長、部長へと昇進する際、
人材育成の一環として必ずプレゼンテーションを行います。
人はプレゼンテーションの機会を通じて、大きく成長することができるのです。

プレゼンテーションを行うためには、膨大な準備が必要です。
せっかく時間をかけて行うのですから、良い評価を得たいと思うのは当然です。

与えられた時間内に何を凝縮して伝えるのかを必死に考え、
用意した資料を基に、何度も何度もリハーサルを繰り返します。

本番5分前までこだわる

どうすれば相手にきちんと伝わるか? 
話し方はこれで良いのだろうか?
知恵を絞り、アドバイスを求め、汗を流すのです。
独自のブラッシュアップは難しいため上司や先輩の指導を仰ぐこともあるでしょう。

ぜひ、本番5分前までこだわってください。

一生懸命資料の準備をする。
リハーサルを何度も繰り返す。
徹夜をすることもあるでしょう。

そのようなとき、本番直前にはすでに燃え尽きていて、
「さあこれからだ」という思いよりも「もうすぐ楽になる」という思いの方が強くなることも多いものです。
ゴールはもう目の前ですから「もう十分だろう」の声が心をかすめることもあるでしょう。

それでも直前までこだわり抜くことができれば、「やり切った」感が高められます。
これが、人の成長度を決める分岐点なのかもしれません。

プレゼン後までを考えて臨む

プレゼンテーションをゴールと考えるのではなく、
その後のことまで考えて準備しながら本番に臨んでみてください。
つまり、プレゼンテーションをゴールではなく、マイルストーンにするのです。

すると、自分の気持ちはプレゼンテーションが終わった先にありますから、
冷静に本番を迎えることができるのです。
その場の雰囲気や流れを上手くコントロールできるようにもなります。
それが、良い結果につながるという好循環を、きっと生み出せるはずです。

プレゼンテーションを行う時には、その後を意識して全力で走り抜けてみてください。
たとえば、プレゼンテーションに掲げた内容をいかに実践するかを考えるというようなことです。
きっと、プレゼンテーションの結果が大きく変わると思います。

会議をやり切る:即行動できる組織づくり

会議とは何でしょうか? 
基本的には一緒に仕事をする人たちが一堂に会して「正しい結論を導き出す」ための場です。

複数の人と一緒に仕事をするときは、その時々で問題や課題などについて話し合い、
結論を出して次へ進む必要があります。

会議には、時間も場所も必要で、調整が面倒なこともあるでしょう。
せっかく時間を使うのですから、内容の充実した会議にしたいと考えるのは自然なことです。

充実した会議のための3ステップ

会議には議題に関わらず3つのステップがあります。
「報告・共有」「審議」「決議」

最初のステップが「報告・共有」です。
まずは、正確な情報を報告し合い、共有することが大切です。

次のステップは「審議」です。
昔から「文殊の知恵」という言葉があるとおり、人が集うところにこそ知恵が生まれます。
会議の場に集まるそれぞれの人は知識も経験も異なります。
報告された情報に基づいて、さまざまな意見やアイデアが生まれるのです。

参加者がそれぞれの意見を自由にやり取りし「知恵出し」「調整」「確認」をすることが大切です。

その際に気を配るべきは声の小さい人の意見にも耳を傾けることです。
少数意見に、ハッとするようなアイデアが隠れていることも少なくありません。

会議に参加するメンバーの中には、時として声高に持論を展開する人がいるものです。
何となくその意見に全体の雰囲気が同調し、異論を唱えにくくなることもあります。
しかし、議論に勝ったからといってその意見が正しいとは限りません。

会議に参加するメンバー、特に議長はその点を良く理解し、口下手なメンバーや少数派の意見の中にも真実があるかもしれないことを常に心に留め、会議を進めていくようにしましょう。
ときに口の重い人にも話を振って、意見を求めることも必要かもしれません。

そして最後が「決議」です。
議題や目的に合わせて、なるべく多くの意見を出してもらい、
その中から議長が責任を持って選び、結論を出すようにしましょう。

この3つのステップがきちんとできている会議は、内容の濃い、充実したものとなります。

会議をやり切る=議事録を残す

前述の3つのステップだけでは、会議を「やり切った」とは言えません。
会議をやり切るために、欠かせないのが「議事録」を残すことです。

会議が終わったら、すぐにその場で導き出された結論と、
そこに至るまでのプロセスについて議事録をつくり、全員で共有するようにしましょう。

その際「誰がどのような発言をしたのか」は問題ではありません。
もっとも重要なのは、会議によって導き出された「結論」です。
日付と参加メンバー、導き出された結論、そこから「誰がいつまでに何をやる」という、いわゆる「5W1H」を記録して共有することが重要
なのです。

そこまでやり切って初めて、会議は実りのある場になります。
会議が終わったらすぐに議事録をつくることで、
時間と労力を使って導き出された結論に従って、一人ひとりがすぐに行動できるようになるのです。

会議の結論に従って次のアクションへとつなげること。
それが企業の次の一手、ひいては未来の業績に大きく関わってくるのです。

意思疎通をやり切る:効率性の高い人づくり(人材育成)・組織づくり

「言わなくても分かるだろう」
「文章にしなくても約束は守ってくれるだろう」
多くの職場でこのような前提の下に仕事が進められています。
実際には、仕事はスムーズには進まないことが多いものです。

仕事は書面に残す

日本語には「文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合う」という意味の「以心伝心」という言葉があります。「ふたり以上で一緒に物事を行う時などに、お互いの微妙な気持ちが一致すること」を意味する「阿吽の呼吸」という言葉もあります。日本人の持つ貴重な特質・文化であり、これからも大切にしていくべき人と人との交わりの姿です。

しかし、仕事においては別です。
「以心伝心」や「阿吽の呼吸」には頼らない方が良いでしょう。

仕事での伝達事項や確認事項などは、全てきちんと書面で残すべきです。

なぜなら、仕事とは多くの人たちが関わるものであり、一人ひとり考えていることは異なるからです。
たとえ最初は小さな誤解や思い込みであっても、それが後々大きな差異となることも少なくありません。そのようなことが起きてから、「誰の責任か」と犯人探しをしたところで意味はないのです。

そのようなトラブルを避けるためにどうするべきかを考えるべきです。
それはやはり、書面にして残すということに尽きるでしょう。

初めての相手と一緒に仕事をする場合など、
自分から見て遠い存在であれば、警戒して後々もめないように書面を残そうとします。
これは、相手に対する信頼が確立されていないからです。
自分から見て近い存在であれば警戒をしていませんから、口約束だけになってしまいがちです。

しかし、近い関係だからこそ、後々トラブルにならないように書面を残すことが大切です。

たとえば、「いつまでに」「どれだけ売り上げるか」など、
期日や金額などの数字などはその最たるもの。
時間が経つほどに曖昧になってしまいます。

だからこそ、ちょっとしたミーティングでもその内容や結果をメモしておき、
メールを送って共有しておくといった習慣がとても大切になるのです。

書面に残して効率を高める

決めたことや約束などを全て書面にして残すとなると、
一見手間が掛かって非生産的だと感じられるかもしれません。

しかし、決してそんなことはありません。
全てを正式な書面にする必要はなく、メールでも良いのです。

一度トラブルが起こってしまうと元に戻すのは大変な手間と時間が必要ですし、
書面にすることでお互いに腹を探り合うことなく、正確な情報を共有できます。

もちろん、一つひとつの仕事に対して慎重にもなるでしょう。
問題が起こらないように証拠を残すことが、
結果的に仕事のスピードアップにつながることも少なくないのです。

遠くにある目標達成を目指して一緒に仕事をしている時、
今現在のことを疎かにしてしまいがちになるものです。

遠くの目標に向かって突き進む推進力と同じくらい、
足元の現状をしっかりと書面にして残し、共有するように心がけてください。

日々のちょっとした心がけで、思わぬことで足元を掬われる事態を避けることができます。

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