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  1. 経営

組織づくりと部下育成で築くべき経営と現場/上司と部下の関係

組織づくりと部下育成には「リスペクト」と「のりしろ」が必要

経営戦略を実際に動かすのは現場です。現場は経営戦略なしには動けません。
経営と現場を一体化させる組織づくりが必要です。

一体化によって、真のお客様視点が生まれます。
皆で共有するお客様視点や目的は、いわば企業の「のりしろ」となります。
その「のりしろ」によって、部下や組織はつながることができるのです。
つまり、皆で一丸となって目的達成に向かって突き進む基盤となります。

組織のリーダーには、部下たちと良好な関係性を築く器が必要です。
リーダーとして「やるべきこと」を成し、つながりを創り出していかなければなりません。

組織づくりと部下育成における経営と現場、リーダーと部下の関係性の在り方を説明します。

<目次>
■経営と現場を一体化させる組織づくり
・「戦略の現場化」と「現場の戦略化」
-経営者は現場を見る機会を持つ
・お客様視点と共通目的という「のりしろ」のある組織づくり
-仕事は異常の連続
-お客様視点という「のりしろ」
-各部門同士の「のりしろ」
・分権型の組織づくり:「設計」「制作」「検査」を独立させる
■リーダー育成:リーダーは現場や部下とどうつながるか
・「現地現物確認」と「論理的思考」を徹底する
-原因を追及する
-真因を追及する
-現地・現物の確認ありき
・非常時にこそ冷静に、想像力を働かせて対応する
-有事に問われるリーダーの真価
-非常時にリーダーがすべきこと
-求められる冷静さと想像力
・リーダーとは「強さ」と「優しさ」を兼ねた人
-「優しくなければ強い立場にいる資格がない」
-企業にも必要な「強さ」と「優しさ」
・部下の態度や言葉から、その真意を決め付けない

経営と現場を一体化させる組織づくり

「戦略の現場化」と「現場の戦略化」

経営側が現場を知らずに戦略を立てても、必ず失敗します。
「戦略の現場化」と「現場の戦略化」を意識していきましょう。

経営が方針管理だけを行い、現場がそれに合わせて作業するだけでは一体化はできません。
重要なのは、経営が現場を、現場が経営を、お互いにリスペクトし合うこと。
それぞれに異なる「役割」を持ちますから、お互いの役割を認め、理解することが大切です。

「戦略の現場化」とは、トップダウンのことです。
「方針管理」を従業員一人ひとりにまでしっかりと浸透させます。
でき上がった戦略を切れ目なく展開し、戦略に合致した行動を
一人ひとりが行うよう組織的に徹底することを意味します。

「現場の戦略化」とは、ボトムアップのことです。
「現場の情報や知恵を戦略に反映すること」です。
戦略を立てる指揮官と現場の従業員が一体となって初めて、会社は目標に向かって前進します。

そのためには、お互いに相手の意見やアイデアを尊重し合う意識が欠かせないのです。
経営者は、現場に足を運び、現場の状況をよく見て情報を集め、戦略を立てなくてはなりません。

経営者は現場を見る機会を持つ

トヨタ生産方式の自主研究会は、経営者が現場に足を運ぶきっかけとなっています。
部署やグループ単位で、テーマや目標値を決め、改善活動に取り組むものです。
この自主研究会の推進により、現場には状況を判断して自主的に改善する気運が生まれています。

経営者は、その良い取り組みを評価するために、現場を見に行く機会を持つのです。
現場と経営者が良いコミュニケーションを取れるようになります。
それにより、現場の意識も経営者の意識もお互いを尊重する方向へと向かうものなのです。

より良い風土(社風)が醸成され、より良い戦略のもと実行できるようになるでしょう。
経営と現場は一体となることができ、真のお客様視点が生み出されていくのです。

お客様視点と共通目的という「のりしろ」のある組織づくり

成長企業では、一人ひとりが自分の役割をきちんと果たします。
しかし、自分の役割だけを果たせば成長できるというわけではありません。

担当する仕事について、職種を越えてお客様の手に届けるまでを自分の仕事と考えるべき。
それぞれがお客様最優先という視点を持つとき、
それは仕事の構成要素の「のりしろ」となり、団結して仕事を進めていけるようになるはずです。

仕事は異常の連続

仕事というのは常に異常の連続といっても過言ではありません。
異常があれば、手分けして正常に戻す必要があります。

このとき、組織内の誰かが、
「それは自分には関係ない」「自分のことだけで手一杯」
と考えてしまえば、企業としての責任を果たすことはできません。

お客様のことを第一に考えるなら、担当部署や職種などに関係なく、
一丸となって異常を正常に戻さなければならないのです。

お客様視点という「のりしろ」

企業は、常にお客様視点で全体を最適化する必要があります。
そのためには、組織内の全員が当事者意識を持ち、助け合う土壌が必要です。

それぞれに役割があるため、一見非効率的でムダと思えるかもしれません。
しかし、真にお客様視点の商品やサービスを提供し続けるためには、
お互いの仕事の領域が多少重なり合い、助け合える部分は必要なのです。

その部分は「のりしろ」と言い表すことができます。
つまり、皆の気持ちを重ね合い、つなげるための重要な部分なのです。

各部門同士の「のりしろ」

人間の生命体としての成り立ちから、組織運営のヒントを学ぶこともできます。

人間はそれぞれ異なる役割を持つ多くの器官で構成されています。
それぞれの働きによって生命を維持しています。
しかし、それらの器官は決して自分の役割だけを果たしているのではありません。
「生命体を維持する」という共通の目的を持っているのです。
そのためにそれぞれが連携し合い、補完し合っているのです。

企業にもそれぞれ異なる役割を持つ多くの部署があります。
そこには一人ひとり能力も性格も異なる人たちが働いています。
生命体を支える細胞と同じで、自分の仕事だけやれば良い、ではないのです。
「ひとつの企業を支える」ことを共通の目的として、お互いに周囲の状況に気を配り、
敏感に反応して全体最適の観点から自らを変化させていく必要があるのです。

それこそが、企業の成長につながるのです。
組織づくりにおいては、お互いが近づき、重なり合う「のりしろ」をつくることが大切です。

分権型の組織づくり:「設計」「制作」「検査」を独立させる

製造業では、「設計(開発・企画)」「製造」「検査」のそれぞれに担当者があてられています。
それぞれの担当者の責任も分担されているのです。
このように、仕事は複数の人(部門)がそれぞれ役割を分担して進めるべきです。

単にそれぞれの仕事の専門性が高いという理由で分担されているのではありません。
ミスや不良品が許されないからこそ役割を分担し、何重にも品質チェックするための分担なのです。

製造業では「源流管理」と言います。
不良品などの品質問題などが起こった場合に、その原因を突き止めて改善するため源流にさかのぼって解決していくことを指します。

たとえば、氾濫しやすい河川に設置されるダムの働きのようなものです。

上流、中流、下流のそれぞれにきちんと検査を行うダムをつくり、上流で発生した不良品は上流で止め、中流の不良品は中流で止め、それぞれ下へ流さないようにします。

いちいち検査を行うことは、ムダのように感じられるかもしれません。

しかし、不良品を下流へ出してしまえば、よりコストがかかります。
外に出せば、信頼を失ってしまい、その信頼を取り戻すのは至難の業です。
そうなる前にきちんとできる限りの手を打っておくことが大切なのです。

このダムをしっかりと機能させるために、
「設計(開発・企画)」「制作」「検査」をそれぞれ別の人(部門)が行うのです。

それぞれが独立してきちんと「PDCAサイクル」を回すことで、
仕事の質は向上し、企業全体が良くなっていくのです。

リーダー育成:リーダーは現場や部下とどうつながるか

「現地現物確認」と「論理的思考」を徹底する

何か「結果」が現れたら、その「原因」やその奥にある「真因」を突き止めることが重要です。
結果として現れるさまざまな現象の「真因」を理解するために欠かせないのが、
「現地現物確認」と「論理的思考」です。

原因を追及する

現象を見て、その原因を突き止めるとき、
見る人によって原因だと感じるものが違っていることがよくあります。
それは見る人の知識や経験、素直さなどの差によるものです。

客観的に原因だと考えられるものにたどり着くには、
できるだけ多くの人を集めて「なぜ?」を繰り返します。

製造業で活用される「QC7つ道具」のひとつ、「特性要因図」なども役に立ちます。
結果から遡って「なぜ?」を繰り返して考えられる原因を魚の骨形の図にして、
誰にでも理解できる形で原因が整理され、共有できる
のです。

真因を追及する

たとえば、製造業のラインで品質問題が起こったとします。
原因を探ると検査員が見落としたという理由が見つかりました。
そこで、次から検査員が見落とさないような施策を取ります。

そこで止まるのではなく、「なぜ検査員が見落としたのか?」を突き詰めていく必要があります。

人が足りないのか、製品の流し方が悪いのか、検査員の能力不足か。
原因を突き止め、それを改善するのです。
これが「原因」の先にある「真因」を突き止めるということです。

現地・現物の確認ありき

大切なのは、まず「現象を現地・現物でしっかり確認する」ことです。

現地、現物で現象をきちんと「見て」確認する
その上で「なぜ?」を繰り返して原因について「考える」
全ての可能性を鑑みた上で「論理的」に「真因」にたどり着く

つまり、
「現象をよく見る」
「その原因を考える」
「原因の本質を理論的に把握する」

そのために、
「物をよく見る」
「理屈で考える」
「理論で裏付ける」

現象のみにとらわれると本質が掴めないこともあります。
現地・現物を見ずに考えても、出発点を間違いやすく、やはり本質を捉えられないのです。

「現象には必ず原因があり、原因を突き詰めて真因までたどり着かないと論理的な対策は打てない」ということを念頭に置きましょう。

「事件は現場で起こっている」のですから、現象にリンクした原因、真因を掴む必要があります。
きちんと現場へ赴き現物を確認し、現象から原因、真因を論理的に把握することを心がけましょう。

非常時にこそ冷静に、想像力を働かせて対応する

震災などに見舞われたとき
大きなシステム障害が発生して業務遂行が困難になったとき
ミスやトラブルが発生したとき

早急な対応が求められますが、状況や事態を把握した上で適切な対応を取ることが重要です。

有事に問われるリーダーの真価

非常時などの有事のときほど、管理者・経営者のリーダーの真価が問われます。

平常時のリーダーの役割は、PDCAをしっかり回すことです。
「すべきこと」を行い、粛々と成果を追求すれば良いのです。

しかし、緊急対応が必要な非常時には、「何をすべきか」から考えなくてはなりません。
常に不測の事態に備える心の準備をしておきましょう。

非常時にリーダーがすべきこと

非常事態が起きたらまず「事実の確認」が必要です。

何が起こっているのか? 
被害はどのくらいなのか? 
復旧にどのくらいの時間がかかりそうなのか? 
関係者への情報提供をどのように進めるべきなのか?

これらの情報を集めるために、情報を集める本部を設定します。
ホワイトボードの前に関係者を集め、過去から現在迄の経緯を時系列にまとめます。

5W1Hで整理すると正しい状況把握が可能となり正しい対応ができます。
ホワイトボードの前に関係者を集めて事実確認をすることで、正しい情報が共有できます。
これは危機管理における「見える化」のひとつです。

対策を立案する場合も、ホワイトボードの前に関係者が一同に会して議論すれば、文殊の知恵が出やすくなります。考えられた対策も5W1Hでまとめ、その場でコピーして配布すれば、さまざまな行動を同時に開始することができるのです。

求められる冷静さと想像力

緊急対応が必要な時ほど、指揮官は慌てずに落ち着いて1カ所に留まります。
正確な情報を集め、刻々と変化する状況を精査した上で判断し、指示を送らなければなりません。

この時に大切なのは想像力です。この事態が何を引き起こすのか、見えない未来を見通す想像力があれば、優先順位や対応策は見えてくるはずです。

リーダーとは「強さ」と「優しさ」を兼ねた人

すべての人が「人の上に立つ人」としての適性を持っているわけではありません。
人にはそれぞれ「器」があり、人の上に立つには、それなりの「器」が要ります。
部下を持つリーダーとなる人材の抜擢や配置をする際には、人を見る目も必要です。

この人についていきたい、この人と一緒に仕事がしたいと思わせる魅力という「器」
人を引っ張る強さという「器」
そして、その「器」の大きさを決定づけるものは「優しさ」なのかもしれません。

「優しくなければ強い立場にいる資格がない」

作家のレイモンド・チャンドラーの著書の中の一節です。

「If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.」
(強くなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格がない)

企業で部下を持つ人は誰でも、同じように「強さ」と「優しさ」が必要です。
そのために、自分自身を律していくことが大切です。
「強さ」と「優しさ」があって初めて、人の上に立つべき「器の大きな人」になれるのです。

しかし、強い立場になったからといって、横暴になってはいけません。
努力して強い立場が得られたら、その時こそ「優しさ」が必要となるのです。
「優しくなければ強い立場にいる資格はない」のです。

また、仕事はひとりでできるものではありません。
上司がいて部下がいて、お客様がいて、初めて仕事ができ、成果が出せるのです。
自分を取り巻くあらゆる環境に対する感謝の気持ちを持つことも大切です。

企業にも必要な「強さ」と「優しさ」

企業は競合との間の激しい競争に勝つ強さ(競争力)がなければ淘汰されます。
しかし、企業の存在理由は「競合に勝つこと」ではないことを認識しましょう。
製品やサービスなど、その企業活動を通して、人類や社会にどう貢献するかが大切なのです。

自分の会社の利益だけでなく、自分たちを取り巻く人々や社会に貢献しなければ存在する意味がないのです。そのような「優しさ」があって初めて、企業の器も大きくなる、つまり成長するというわけです。

人を惹き付け、引っ張り、目標に向かって突き進んで行く「強さ」
周囲に目を配り、気を配り、掬い上げる「優しさ」
これらを兼ね備えられるように心がけましょう。

部下の態度や言葉から、その真意を決め付けない

今の若い世代は、「敬語が使えない」という声をよく聞きます。
実際に、そのような場面に触れ、ハラハラすることも少なくありません。
先輩や年長者には、それなりの敬意を持ちたいものです。

かといって「慇懃無礼」な態度も考えものです。
「慇懃無礼」とは、「言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま。表面の態度はきわめて礼儀正しく丁寧だが、実は尊大で相手を見下げているさま」です。

「慇懃無礼」な態度を取られるとき、自分がなめられていると感じることも少なくないようです。
それが事実というときもあるでしょう。
しかし、そうではなく、自分の考え方や発言に対する自信のなさが隠れていることもあります。
ただ失礼のないように接しようと意識しているだけかもしれません。

とくに人に対する評価には「タメ」「余裕」が必要です。
部下の態度から、その真意を決め付けて「失礼な奴だ」と切り捨てないように気を付けましょう。

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