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  1. 人材育成

部下育成・マネジメントを行うリーダーに必要なこだわりと視点

部下育成・マネジメントを行うリーダーに必要なこだわりと視点のイメージ写真です。

部下育成と組織づくりに活かすこだわり、使命感、2つの対極視点

経営者や部下を持つ上司としての役割を果たすには、
プレーヤーのときとは異なる視点で仕事、人、組織に目を向ける必要があります。

細部へのこだわりも、より繊細により厳しくしていくべきでしょう。
さて、こだわる部分は、どこから見出せばいいのでしょうか。

人も組織も、お客様も、最終的にはそれぞれの「幸せ」を求めているもの。
人の役に立つという使命感を、自分や部下たちが幸せに向かう原動力にしましょう。

組織づくりは、「着眼大局、着手小局」という2つの視点を持ちましょう。
本質を掴んだマネジメントを遂行するための秘訣です。

部下育成や組織づくりにおける「細部へのこだわり」「使命感」「2つの対極視点」について解説します。

<目次>
■部下育成を行う上司は細部へのこだわりを持つ
・無形資産(見えない資産)を積み上げる
・こだわりは畏れとリスペクトから見出す
・「閃き」や「セレンディピティ」を得るために
■自分も部下も役に立つ意識と使命感を持つ
・人間の幸福感につながる3つの要素
-自分らしく生きる
-他の人の役に立つ
-限りある生命を超越した使命感を感じる
・幸福とは何か
■人と組織づくりのための「着眼大局、着手小局」の視点
・「空間」の「着眼大局、着手小局」
・「時間」の「着眼大局、着手小局」
・「考え方」の「着眼大局、着手小局」

部下育成を行う上司は細部へのこだわりを持つ

経営やマネジメントにおいて、細部にこだわる気持ちと実践がなければ成功は得られません。

大きな方針を表現した言葉の一言一言にこだわる
部下一人ひとりの心の状態にこだわる
働く環境(事務用品、室温、照明など)にこだわる

これらは、「決めたことはやり切る(完成度・納期遵守にこだわる)」ということにもつながります。

無形資産(見えない資産)を積み上げる

企業においては、見えない資産を「積み上げる」ことも大切です。
「時は流れる」とも言われますが、「時は積み上がる」ものと捉えることはできないでしょうか。
過去の上に現在があり、現在の上に未来が積み上がっていくのです。

インフレーションからビックバンを経た宇宙の成り立ちや人類の歴史を見てもあてはまります。
一人ひとりに与えられた役割は一様ではありませんし、時間には限りがあります。
しかし、一人ひとりの経験や知識を次の世代に伝承し、今日の社会が成り立っています。

経営において大切なことは「無形資産(見えない資産)」を積み重ねていくことです。
なぜなら「人」が経営の中心にいるからです。

こだわりは畏れとリスペクトから見出す

リーダーに必要な「細心」や「こだわる心」は、
自分を取り巻くさまざまなものを「畏れる心」から生まれるのではないでしょうか。

「畏れる」心があればこそ、相手を敬い、大切にすることができ、全てに配慮することができます。
リーダーとして人の上に立ち、人を導く者は、まずは相手をリスペクトすることを心がけましょう。

自分がされたら嫌なことをやらないようにする
自分がやってほしいことを相手に対して行う
この心がけが遂行されれば、お互いに気持ち良く仕事ができるようになります。
自分が相手をリスペクトして大切にしていれば、相手も自分を大切にしてくれるようになるものです。

ここでの「リスペクト」とは、尊敬するというより「存在意義を認める」「役割を認める」という意味です。

また、人智を超えたものに対する畏敬の念も忘れてはいけません。
私たち人間には、まだまだ知らないこと、理解できないことがたくさんあります。

私たち一人ひとりに、人類という種の1個体としての役割があるとすれば、
全体の調和や摂理の中、その役割を与えた何かが存在していると考えられるのではないでしょうか。

そのような存在を常に感じながら生きれば、
より冷静かつ細心に自分自身や周りを見ることができるようになるでしょう。

「閃き」や「セレンディピティ」を得るために

「セレンディピティ(serendipity)」という言葉があります。

セレンディピティとは、
「偶然をきっかけに閃きを得て、幸運を掴み取る能力」という意味で使われます。

大業や偉業を成し遂げた人の多くが、
自らの努力ではなく、導かれたことに感謝していると口にします。
これは、「努力をしたからこそセレンディピティが得られる」ことの証ともいえるでしょう。

誰でも、仕事や人生を通じて、何らかの結果を残したいと考えているものです。
目指す成果は人それぞれでしょう。
「自分らしく、真面目に考え、一生懸命に努力」していれば、何らかの結果を得られるものです。

真面目かどうかは、目の前のさまざまな選択肢の中から、
何をどう選ぶかの「ジャッジメント(=判断)」に宿るものです。

「自分らしく、真面目に考え、一生懸命に努力」というのは、
自分がこの世に生まれた役割を考え、それを全うするために、
与えられた命を大切に判断するということではないでしょうか。

そのためには、まずは自分のことを愛し、大切にしなければなりません。
そして、人間はひとりで生きられないということを理解することも大切です。
自分で自分を安易に評価して決め付ける前に、目の前の選択肢から真面目に選んで、一生懸命に努力し続けてみましょう。

周りの人が力を貸してくれたり、ヒントを与えてくれたりすることも、ひとつのセレンディピティです。
「自分らしく、真面目に考え、一生懸命に努力」していれば、「閃き」や「セレンディピティ」に出会う可能性も高まるのです。

自分も部下も役に立つ意識と使命感を持つ

人は何のために生まれ、何のために生きているのでしょうか? 
人類という種の中で、私たち一人ひとりには何らかの役割が与えられているはずです。
人は自分の意思で生まれてきたわけではなく、誰かが役割を教えてくれるわけでもありません。

しかし、人は皆、自分の幸福を実現するために生きています。
一言で幸福といっても、人それぞれだと思います。
では、一般的に人間がどのようなときに幸福感を得られるかを考えてみましょう。

人間の幸福感につながる3つの要素

人間が幸福感を得るためには、大きく3つの要素があります。

一つ目は「自分らしく生きる」
二つ目は「他の人の役に立つ」
三つ目は「限りある生命を超越した使命感を感じる」

自分らしく生きる

「自分らしく生きる」というのは、自分が楽しいと感じることをやるということです。
不得意な部分を修正しながら生きるよりも、得意なことを伸ばした方が楽しく生きられます。

ただし、そのためには自分を分析する必要があります。
自分で得意だと感じていることが、客観的に見ればそれほどでもないかもしれません。
また、まだ経験していない楽しいことがあるかもしれません。

アンテナを高く張り巡らして、見える情報・見えない情報を集めて、
自分の強みを見付け、伸ばすように心がけましょう。

他の人の役に立つ

「他の人の役に立つ」こととは、人との関わりの中で自分にできることをやるということです。
決して自己犠牲ではなく、自分の得意なことや、できることで人の役に立つことです。
自分が得意としていることで他人を助け、感謝されれば誰でも嬉しいと感じるはずです。

そのためには、自分の強みを知り、自分らしさに磨きをかけなくてはなりません。
「何が求められているのか」を察知するコミュニケーション能力も必要となるでしょう。

限りある生命を超越した使命感を感じる

「限りある生命を超越した使命感を感じる」こととは、自分の子孫たちのために何かを残すことです。
私たちは誰でも人類という種の1個体に過ぎず、生きている時間には限りがあります。
しかし、たとえ自分が死んだ後も「種としての人類」は生き続けます。

私たち一人ひとりには、種としての人類を存続させるためにできることがあるはずです。
今までにない技術を開発することかもしれませんし、文章や映像にして記録することかもしれません。
会社をつくり、大きくして永続的に人々の幸福や社会への貢献を実践することかもしれません。

自分が得意とすることで、子孫のためになることを行う。
意識しているかどうかに関わらず、人類を存続させ続けることは、
生命の本質であり、それは幸福につながるはずです。

幸福とは何か

「幸福とは何か?」を端的にいうと
「自分らしく、自分以外の人々のために、使命感を持って生きる」ということです。

自分の「強み」を見付け、それを磨き、人の役に立つことを心がけ、
子孫のために何が残せるかを意識してください。
それが幸福に生きることであり、最後の瞬間に悔いを残さないことにつながるはずです。

人と組織づくりのための「着眼大局、着手小局」の視点

将棋や囲碁の世界では、「着眼大局、着手小局」という言葉が使われます。
これは中国の思想家、孔子の弟子である荀子の言葉で
「物事を大きな視点から見た上で、目の前の小さなことから着手する」という意味です。

この言葉は、経営の本質を言い当てています。
経営では、あらゆる物事を複数の視点から見る必要があります。
なぜなら、ひとつの視点だけで判断しては、その本質を見誤る可能性があるからです。

もちろん、複数の視点で見ても見落とすことはありますし、気付かないこともあるでしょう。
それでも、ひとつよりは2つの方が、より本質に迫れるのです。
「空間」と「時間」それぞれに「着眼大局、着手小局」という複数の視点を持つことが大切です。

「空間」の「着眼大局、着手小局」

「空間」の「着眼大局、着手小局」とは、
物事を広く全体を俯瞰する視点と、
細かく細部まで見る視点の両方を持たなければならない
ということです。

経営における物事を広く高い視点から全体を俯瞰する
「着眼大局」とは、企業そのものの全体という意味と、その企業を取り巻くさまざまな周辺環境も含めた全体という意味でもあります。

たとえば、企業はある地域や国に属しており、その地政学的な影響は逃れられません。
また、同じような製品やサービスを提供する同業他社の影響も受けるでしょう。
もっと視点を広げれば、地球環境の影響も受けているはずです。

一方の「着手小局」は、
実際に仕事をやる人々と同じ目線で見ないと気付けないことがたくさんある
という意味です。

たとえば、会社を構成している従業員にはそれぞれの人生があります。
会社の利益を増やすという目標は同じでも、頭の中で考えていることはそれぞれ異なります。
さらに言えば、従業員だけでなく他のステークホルダーへの配慮も必要でしょう。
そうでないと、正確な状況や情報を見誤る可能性があるのです。

物事を複数の視点から見ることで、その対象の真の姿をより正確に捉えることができるのです。

「時間」の「着眼大局、着手小局」

「時間」の「着眼大局、着手小局」とは、
長期的視点で物事を見通す目と、目の前の現象をしっかり見据え、瞬時に本質を見抜いて即座に物事を処理するための目を持たなければならない
ということです。

マネジメントでは「明と暗」や「インプットとアウトプット」など、
対極的な2つの視点から見てバランスを取ることが大切です。
対極となる2つの視点を持つことは、対象の真の姿を捉える上でとても役に立つものなのです。
 

「考え方」の「着眼大局、着手小局」

「考え方」についても、「着眼大局、着手小局」と同じ2つのアプローチを持ちたいところです。
つまり、答えを出すための推論方法を2つ持つということです。

たとえば、「あるべき姿」を思い描いたとしても、
それは私たち人間が生きている時空のどこにも存在していません。
頭の中にしかない姿へ至るためのアプローチ方法も、頭の中にしかありません。
そこで、演繹法と帰納法という、推論を導くための2つのロジックを活用します。

一般論やルールに個別の事象を加えて結論へと導く演繹的なアプローチに加え、
多くの個別の事象から一般的な結論へと導く帰納的なアプローチで考えるということです。
答えのないものについて考える時に、自分なりの結論へとたどり着きやすくなります。

「時間」と「空間」に関してそれぞれ2つの視点と、思考に関する2つのアプローチ。
これらを駆使することが、物事の真の姿に迫ることにつながり、正しい意思決定を実現します。
リーダーは、物事に対しこの「着眼大局、着手小局」を実践するように心がけてみてください。

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